市廃棄物条例改正を検討していることについて、
路上生活者や支援者が「生きる道を奪われる」と危機感を強めている。
アルミ缶の売却が唯一の収入源の人が多く、条例ができると生活費が得られなくなるからだ。
「残された最後の道を閉ざさないで」と市に交渉を働きかけている。
京都市内の路上で暮らす50代のホームレス女性は、
週3回、早朝から自転車でアルミ缶を集めている。一度で積める量は30キロ程度。
3千円程度だ。回収は音がしないよう細心の注意を払う。
もし、住民に苦情を言われたら次が絶たれるからだ。数年前から、
トラックで根こそぎ持ち去っていく人が増え、厳しくなった。
それでも「これでしか生きていけない」と、必死に走り回っている。
市は、アルミ缶価格の高騰で、
アルミ缶のみを組織的にトラックで持ち去る悪質な回収業者が増えたり、
「深夜や早朝に缶を持ち去る音がうるさい」などと市民から苦情があることなどを理由に、
資源ごみ袋に入った空き缶を集積場から持ち去ることを禁止し、
ごみを市の所有物と明記できるよう条例の改正を検討している。
早ければ9月議会に提案し、来年4月の施行を目指す。
これに対し、路上生活者や、支援団体「きょうと夜回りの会」(本田次男代表)は
「収入源が絶たれ、死活問題だ」「マナーが悪いのは、トラックで来る人たち」
「市が分別収集する前からリサイクル回収を仕事にしていた」などとして、
今月初めに、市と交渉を持った。
しかし、市は「市民のリサイクル意識を向上させるため」「苦情が多い」などと述べたという。
市によると、条例に除外規定などは設けず、施行されれば一律に適用する。
市は「路上生活者の収入源になっていることは承知しているが、理解を求めたい」と話す。
その上で「ホームレス自立支援計画に沿って条例とは別の問題として支援していく」という。
同趣旨の条例は大津市や横浜市、東京都世田谷区などでも施行されている。
横浜市は「パトロールなどはしていないが、市民から連絡があれば駆けつけ、返してもらう」としている。