人でごった返す広東省最大の電気街の地下に、2009年5月にオープンした「華強北茂業店」はあった。地元の百貨店の一角、文句無しの一等地である。しかし、その日は土曜日の昼間だというのに、地上とはうってかわって人影もまばら。中年と思しき男女が一組、靴下を選んでいるだけだった。
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世界最大となる銀座店が3月にオープンした際には最高2時間待ちを記録したユニクロだが、ここでは閑古鳥が鳴いている。なぜ、このような状況なのか。現地に駐在する日本人男性に聞いてみたところ、かつてユニクロが日本で経験した現象が広がっているからだという。
ヴェルサーチやアルマーニ横流し品がユニクロ以下の値段
「ユニクロの服を着ていると、『それユニクロでしょ?』ってすぐに言われるんです。上陸当初の2、3年前までは『メイド・イン・ジャパン』ということで注目されていましたが、今や国内に100店舗以上あるし、ネットでも買える『ベタな服』。購買力がついてきて、オシャレに目覚め始めた都市部の中国人の若者にとっては、着るのも恥ずかしいという感覚が芽生えている。僕は冬にカッコつけた若者が集うクラブにウルトラ・ライトダウンを着ていったら、周囲からヒソヒソ笑われましたよ」
今や中国人でさえ、いわゆる『ユニバレ』を恐れ、ユニクロ製品を敬遠しているというのだ。さらに現地の日本人留学生もこう話す。
「バブル真っ只中の中国ではファストファッションは流行らない。こっちでイケてるファッションは、やはりヴェルサーチやアルマーニのロゴが大書きされたようなベタな服ですよ。パチモンではない、工場の横流し品がユニクロ以下の値段で売っている状況ですから、若者はわざわざ安物イメージのあるユニクロなんか買わない」
柳井氏が掲げる中国1000店の目標へは道半ばだが、すでに一部の中国人からは飽きられているようだ。