国家が敗者となるのは、利益を生み出す企業が「住みやすい地」を求めてどんどん逃げて行って、失業した国民と一緒に置いてけぼりにされてしまうからである。
企業が出ていくので歳入が減る。しかし、失業者が増えるために歳出が増える。
これが毎年繰り返されると、国家は累積債務を膨らませるだけ膨らませて、最後には破綻するしかなくなる。
破綻すればどうなるのか。その国の通貨は激安になって、労働者の賃金も激安になるのだ。
皮肉にも、そうなると多国籍企業が戻ってくる。しかし、賃金は昔と同じではない。奴隷的な安さで雇われる。
今、世界で起きているのがその流れだと言われれば、納得できるものもあるかもしれない。
ギリシャで何が起きているのか。イタリアで何が起きているのか。イギリスで何が起きているのか。底辺の賃金低下である。なぜ、そうなってしまったのか。
多国籍企業が、低コスト低賃金を求めてどんどん工場を中国に移設し、国内に残った企業は低賃金でも働く移民を雇うようになったからだ。
中流階級の働く場所が消えた。それで中流階級が没落し、暴動が起きやすい国になっていったのだ。
これは「ウォール街を占拠せよ運動」で荒れ始めたアメリカでも同様だ。多国籍企業が先進国の労働者を捨てて賃金の安い国に移動していったのだ。
だから、中流階級が没落してしまい、アメリカ政府は莫大な累積債務を抱えるようになってしまったのである。
アメリカが金融立国を選択したのは、グローバル経済の流れの中で高賃金のアメリカ人が雇えなくなったから多国籍企業が逃げていった結果である。
グローバル経済は、労働者を殺すシステムだったのである。そして、その結果ゆえに国家も一緒に死ぬ。
http://www.bllackz.com/2012/09/blog-post_8.htmlより一部転載