政権にとって一番大事なことは、予算を編成し執行することだ。どんな内閣だって、予算成立を最優先してきた。予算を執行できなければ、国民生活がガタガタになるからだ。
かつて竹下内閣は、予算成立のために野党にクビを差し出し退陣したものだ。ところが、野田首相は、予算執行できない状態を何カ月も放置しているのだから、信じがたい。
予算を執行するためには「特例公債法案」を成立させ、財源を確保する必要がある。とっとと国会を開き「解散するから成立に協力して欲しい」と野党に頭を下げるしかない。なのに、国会を開こうともしないのだから、どうしようもない。
財源が足りないために、すでに地方交付金はカットされている。財務省によれば、11月には国庫が底を突くそうだ。予算執行という最低限のこともできずに、野田内閣は、どこが「決める政治」なのか。
それもこれも、国民生活のことなど、これっぽっちも頭にないからだ。あるのは政権維持だけ。予算が執行できず、国民が困窮しようが関係ない。とにかく解散したくない、ということだけだ。
過去、ヒドイ政権はいくつもあったが、ここまでデタラメな政権は見たことがない。経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「野田内閣がいかに腐敗しているか、19兆円の復興予算の使われ方を見れば一目瞭然です。被災地の復興は進んでいないのに、1兆円を使い切れなかったと国庫に戻す一方で、被災者と関係ない公共事業にどんどん流用している。自衛隊は輸送機まで購入していた。
復興予算は、復興増税として25年間の所得増税で捻出したものですよ。国民は被災者のためならと増税に応じた。なのに、被災者に届かないなんておかしい。野田内閣は一事が万事、すべてこの調子。要するに、国民生活など、どうでもいいということです」
(日刊ゲンダイ2012年10月23日掲載)