TPPと道州制という二つの画期的制度改変を通して、日本の国家の障壁や枠組みが解体され、我が国はグローバル秩序に直接組み込まれようとしています。
これは戦後、アメリカとその傀儡たる自民党政権によって遂行されてきた、日本のアメリカ化及びグローバル化プロセスの最終段階として理解するべきものです。
日本の「強み」(文化的な長所)や「富」(マネーや技術や産業)が外に流れ出す一方で、移民が自由化され、安い労働力が海外から国内に流れ込んできます。
格差と貧困が広がり、産業は空洞化し、日本の経済的疲弊と弱体化は避けられません。
さらには、国家の権限を限定し地域に主権を移譲する道州制により、日本はばらばらに切り刻まれていきます。日本全体は、一つの国家としての性格を失い、TPP域内の一政体のような位置づけへと変わっていきます。
日本は、アメリカ、カナダ、オーストラリアのような本格的な移民国家へ移行し、長期的には様々な異民族によって構成されるようになり、アメリカ先住民族やハワイ民族と同じく、我々日本民族はあたかも日本列島の先住民族のような位置づけに立たされるようになります。
このように安倍政権は、「日本を取り戻す」どころか、日本の徹底した国家解体とグローバル化を推し進めようとする過激な新自由主義の政権なのですが、なぜか、この本質が隠蔽され、愛国的なイメージばかりが前面に押し出されてきました。
その結果、アベノミクスの効果もあいまって、多くの国民は、安倍政権の新自由主義的本質に警戒心を抱くことなく、それとは正反対に、国家の堅牢化を目指す単純に保守的な政権であると誤認するようになりました。
実際には、安倍晋三は、新自由主義的政策を実現するために、人々の愛国心や愛国的シンボルを利用する、小泉純一郎や橋下徹と同じ新自由主義と新保守主義が結合したタイプの政治家なのですが、
彼の新自由主義者としての本質を極力カモフラージュする情報操作が組織的かつ長期的に展開されてきたと考えられます。