全国各地で、中国人が山林などを購入しているという話が絶えない。沖縄県も例外ではなく、
「米軍基地内部まで売られてしまっている」という噂もある。
しかし、その具体的な実態はこれまで確認できなかった。法人名義であったり、
日本人の名義を借りているケースもあると推測されてきた。
そんな中、初めてある土地が中国人所有だと確認できた。
沖縄県北部にある今帰仁村(なきじんそん)の山林原野1700平方メートルをはじめ、百数十筆。
所有者は那覇市に本店を置く株式会社「A」で、社名からは日本企業としか思えない。
ホテルやコンドミニアムなどの管理から、通訳、コンサルティングまで十数種の営業目的を掲げている。
役員は全員中国人で典型的なペーパーカンパニーと思われる。
ともあれ、実際にその土地に行って驚いた。那覇空港から今帰仁村役場前を過ぎて車で10分ほど走った丘の上。
すぐ近くの乙羽(おっぱ)山頂には、NHKのマイクロウエーブや、
NTTをはじめ携帯電話各社の中継アンテナが立ち並んでいる。
航空自衛隊のレーダーサイトも向かいの山頂にある。
眼下の東シナ海に面する本部町(=今帰仁村に隣接)には、旧日本軍の空港跡や、
海上自衛隊P−3C哨戒機のための電波送信所建設予定地(地元の反対で現在は建設計画が中断)がある。
つまり、ここは電波通信の要衝の地なのだ。
海上自衛隊は、冷戦時代から日本近海に出没するソ連の潜水艦を探査追跡し続け、対潜哨戒能力を世界一にまで高めた。
その中心を担ったのが、世界最高性能を誇るP−3C哨戒機であり、中国海軍は「天敵」と呼ぶほど恐れている。
近く、P−3C哨戒機は、さらに性能を向上させたP−1に逐次更新される予定だが、その送信所予定地の周辺が、
外国法人に買収されているという事実は、ゆゆしき問題と言わざるを得ない。
現時点で「A」と中国海軍との関係は不明だ。
取材の過程で出会った、沖縄で暗躍する中国人土地ブローカー
(こうした人間が存在すること自体、沖縄の土地が中国人に買収されている証査でもある)は、
こううそぶいた。
「中国人が中国に居ながら、日本の土地を購入したり、会社の役員になったりするのは意外に簡単です。
中国の地方の公証処で公証書を発行してもらい、日本の登記所に提出すればそれでOKです」
私が「公証書が偽造ということはないのか?」と問うと、彼は苦笑いをして何も答えなかった。