「高給」だが4か月で契約は打ち切られる
横浜市にあるハローワークの求人票によると、就労場所は福島県双葉郡大熊町で、福島第一原発での凍土遮水壁工事での一般土木作業、シールド作業、保線作業を担当する。募集するのは18歳以上で、契約更新の可能性はなし。経験者優遇だが経験、学歴、免許や資格は不問。基本給(月額平均)は52万6700円〜75万5700円となっている。募集人数は5人だ。求人を出した建設会社に話を聞いてみると、高給のため「人気は高いです」と話している。ただし、5人の枠はまだ埋まってないという。提示している月給だが、ここから健康保険、雇用保険といった保険料は引かれるが宿泊費や食費は無料だからそれなりの金額が手元に残るそうだ。
原発作業員の日当は1万円半ばが相場とされているのに高給なのは「危険な場所だから」。既定の被曝量に達するまで3〜4か月とみているため、契約は4か月で打ち切るのだと説明した。ちなみに凍土遮水壁工事というのは地下水が建屋に流れ込んで汚染水とならないように、また地下水自体が汚染されないように深さ約30メートル、総延長1500メートルの氷の壁を建屋を囲むように作る。ネットでは
「人生大逆転のチャンスきた」
「まああああああじで今の仕事辞めていってもいいぞ。これがマジならな…」
「半年くらい原発で働いて残りの半年は海外で遊んで暮らすみたいな話聞いたことあるよ」
「マジで75万貰えるんならやるわ」
などと盛り上がる一方で、
「命を賭けてたった月75万か?ゼロがひとつ足りんわボケ」
「生きて帰れるのか?」
「生きて帰ってきてからが色々あるだろ」
などと、行くべきではないとの説得も行われている。
原発現場の就労に詳しい専門家に話を聞いてみると、一生涯で1000ミリシーベルトを浴びると発がんリスクが高まるとされていて、法律上の放射線の被曝量限度は、職業被爆の場合、年間50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルト、これが守られている限り安全だとされている。
求人票で判断する限りでは、募集した建設会社は就労してから4か月で年間の制限の50ミリシーベルトに達すると見ている。仮に月給が75万円として4か月で300万円を稼ぐことになるが、1年で50ミリシーベルトという制限があるため残りの8か月は原発など放射線が出るような現場では働くことができない。8か月後に同じ現場に復帰し4か月働けばまた50ミリシーベルト被曝するため、5年間に100ミリシーベルトの制限に引っかかり、3年8か月は放射線が出るような現場では働くことができなくなる。
「次に働く場所を探さなければいけないというリスクもあり、4か月で300万円という収入は自分にとってプラスかマイナスかをそれぞれ判断すべきだ」と専門家は話している。