貧困を苦に新幹線焼身自殺を起こした高齢者がいたように、昨今では「下流老人」が話題である。が、その序章は35〜49歳の「中年時代」から始まっており、インフレなどで相対的な給与は減り続け、転職やリストラなどで非正規雇用への転落リスクも高まるこの世代が今、「下流中年」化するケースが増えているのだ。
そして、彼らを下流化させる引き金となるのが「孤立化」である。ここでは、そんな下流中年の実例を紹介しよう。
◆年収ダウンで家賃滞納。郊外に引っ越したら、誰も遊びに来てくれない
〜西原俊和さん(仮名・38歳)/ウェブサービス/年収320万円〜
急増する「下流中年」の生活に密着
国道沿いにあるアパートの1Fに住んでいるため、人通りが多く部屋のシャッターは引越し後、2回しか開けたことがない
35歳超の転職は難しいだけでなく、年収減を引き起こす。西原俊和さんもその一人だ。
「広告デザインを担当していたんですが、朝から晩まで働かされるブラックな職場環境が本当に嫌で、後先考えずに辞めました。転職先が決まらず、ようやく見つけたのが手取り24万円で在宅勤務のウェブサービス会社です」
かつては恵比寿で家賃14万円のマンションに住んでいたが、当然払えずはずもなく、半年間も滞納。追い出され、今は千葉県松戸市の駅から徒歩20分、家賃5万円のアパートに住んでいる。
「引っ越した当初は友人も面白半分で遊びに来てくれましたが、今は誰も来ない。友達はみな結婚してしまいましたから。仕事もスカイプでのやり取りなので、今回の取材でリアルに人(記者)と話したのは10日ぶりですかね。滞納した家賃も返済しなければならないので、遊ぶお金もありません。こちらから遊びに誘うこともできず、“オゴるから遊ぼうよ”という言葉を待っている状況です」
食費も切り詰めるしかなく、スーパーで買い溜めしたパスタと松屋でしのぐ日々。最近は「飽きてきたので、松屋からすき家に変えました」と得意げに話す。
転職を機に、かつての仕事仲間も友人も疎遠になり、恋人とは破局。現在の下流生活から脱け出すきっかけすら見出せない西原さんは、半ば諦めの境地に達している。
「結婚はしたいですよ。でも、こんな状況で彼女をつくろうって気になると思います? もうすぐ40歳なのに、今さら新しい彼女も友人も作る気力がわきません」
友人からはシェアハウスを推奨され、「孤独死するくらいなら」と本気で引っ越しを考えている。
9/15発売の週刊SPA!に掲載されている特集『下流中年の危機』では、上記のような実例が続々登場。また「下流中年300人に聞いた『孤独の原因と対策』」や「下流中年が提言する孤独撃退法」なども掲載。我々を下流化させる「孤独」といかに向き合えばいいのか、その対処法はぜひ本誌でご確認を。
http://nikkan-spa.jp/937631