韓国では軍隊式の序列関係が徹底されていて、常にコーチの顔色を窺わなければいけない。
そういうの僕は慣れてないから、もう10回以上、コーチと喧嘩した(笑)。
よく言えば情熱的で、悪く言えば押しつけがましいって表現が合っているのかな。
韓国と北朝鮮の関係からして、北朝鮮代表という肩書を持つ鄭が韓国で嫌な思いをしたことは一つや二つではない。
ネット上には「アカは北へ帰れ」などの心ない書き込みをする韓国人も多い。
韓国も日本と同様、ネトウヨ(ネット右翼)が存在する。韓国では“ネチズン(ネット市民)”と呼ばれ、過激な誹謗中傷は日常茶飯事だ。
2013年には、鄭は韓国で「北朝鮮寄りの発言をした」として国家保安法違反容疑で告発される事件に巻き込まれた。
国家保安法とは治安立法の一つで、北朝鮮を擁護する発言や行動は利敵行為として摘発される。鄭が当時の真相を説明してくれた。
「2010年のW杯が終わったあとに、オーストラリアメディアのインタビューを英語で受けたんです。
『北朝鮮のことをどう思う?』って聞かれて、代表選手としての公式的な立場があるので、『金正日総書記に対してリスペクトしている』という内容を話しました。
英語だとニュアンスをうまく伝えにくいからストレートにそう表現するしかなかった。
そしたらそれがネットで広まり、完全にネチズンの標的になりました。
話題作りが趣味の韓国のある大学教授が『国家保安法違反だ!』と訴訟を起こしてきました。
その後、問題なく処理されて、特に影響はなかったのですが気分よくはないですよね……」