政治資金の使い道をめぐり、疑惑が噴出している東京都の舛添知事ですが、5年前、東日本大震災が起きた日の翌日、上海の土産物店で政治資金を使っておよそ14万円の買い物をしていました。いったい何を購入したのでしょうか。
26日朝、IOCの会合に出席しメンバーらと笑顔で挨拶を交わす舛添都知事。政治資金の私的利用の問題をめぐり、新たな疑惑が浮上しました。
中国の上海国際空港。たくさんの土産店が並んでいます。このなかの、ある土産店で舛添知事が買い物をしていました。日付は2011年3月12日。舛添知事は東日本大震災のあった3月11日に中国・上海で講演。
「上海を訪れた舛添知事は、政治資金の中からおよそ14万円を消耗品として支出していますが、使用した先は空港の中の店舗でした」(記者)
政治資金収支報告書によると、舛添知事は空港内の土産店で13万9178円を支出。名目は「消耗品」で、中国の当時のレートで換算すると、およそ1万1000人民元。何を購入したのでしょうか。
「(工芸品の)最も高いもの?数千元のものもありますよ。(1万1000人民元なら)高額な服を2、3着分くらい」(中国の土産店店員)
この土産店は、中国の民族衣装や伝統工芸品を扱っているといいます。
「パンダは中国の国宝です。パンダの文房具やお土産もあります。自分用でもいいし、人にプレゼントしてもいいですよ」(中国の土産店店員)
土産店で購入した「消耗品」。政治資金から支出したのは適切だったのでしょうか。先週の記者会見では。
「東日本大震災の翌日なんですが、上海で13万円も何を購入したのか?」(記者)
「これも今、記憶にありません」(舛添要一都知事)
舛添知事の過去の政治資金収支報告書には、「消耗品」として数多くの支出が記載されています。舛添知事の別荘がある神奈川県湯河原町。町にある衣料品店では、こんなものも消耗品として購入されていました。
「(自分の)肌着と子どものパジャマ。レシート式の領収書で宛名は書かないです」(衣料品店の店員)
都内の文具店でも消耗品として支出が。
「書道の勉強がしたいので何から勉強したらいいかなと。その時は領収書なんて何も言わなかった」(文房具店の店員)
15年ほど前から書道の勉強をしたいと言って、この文具店をよく訪れ筆などを購入。最初の数年は領収書をもらっていなかったといいます。政治活動と関係があったのでしょうか。
6日後に都議会が迫り、民進党会派は舛添知事の疑惑について調査チームを設置。政治資金が使われた様々な支出。消耗品も適切だったのでしょうか。都議会での追及も厳しさを増しそうです。
舛添都知事の政治資金「ヤフオク」購入
出品者は「『領収書は資料代にしてくれ』と言われた」
舛添要一都知事(67)の政治団体「グローバルネットワーク研究会」から、「龍宮城スパホテル三日月」(木更津市)に13年と14年の正月に支払われた約37万円は会議費用ではなく、家族旅行のためのものではないかと指摘されたのはご存じの通りだ。すると、舛添氏は記者会見で、家族と宿泊していたホテルの部屋を利用し、総選挙の総括、参院選や都知事選への対応のために、事務所関係者と会議を行っていたと明かした。
つまり、家族サービスと政治活動を一緒にこなしていたのだ。自宅近くのイタリアンや湯河原の別荘近くの回転すし店にしても、公私の区別なく利用し、時間やスペースの無駄遣いを省くという戦略があったことに疑いの余地はない。
さらには、政治資金で美術品などを購入するときは、一般的に店舗より割安のヤフーオークションを利用していたのである。“ymasuzoe”のIDを取得し、12年3月から始め、これまでに、137人(計214件)と取引を行い、絵画や版画、図録などを落札していたという。
舛添氏と取引した人物によると、
「うちの出品した版画を、1万3000円ちょっとで買っていました。落札のメールを送ると、商品をどこに送ったらいいのか連絡が来たので、舛添さんだとわかった。その後、本人ではなく、事務所の人から、『グローバルネットワーク研究会』宛ての領収書を送ってほしいと言われました」
また、別の取引先も、
「梅原龍三郎作品の複製版画を、約2万3000円で落札していました。領収書の但し書きは、“日仏文化交流のための資料代”としてくれと言われたのを覚えています。舛添さんは主に、2、3万円程度で見栄えのいい絵画をヤフオクで買い求めているみたいです」
美術が趣味と公言しているだけあって、確実に、落札額以上に価値のある美術品を目利きで選んでいるはずである。
そして、ヤフオクで手に入れた美術品を、議員外交、都市外交のツールとして活用しているのだ。
ジャーナリストの徳岡孝夫氏が言う。
「ソルボンヌに留学し、フランス語が堪能なだけに、舛添さんは崇高なご趣味をお持ちです。税金で家族旅行をし、税金で美術品を買うとは、個人主義を優先するフランス文化を見事に体現なされている。豪華な海外出張を繰り返しているのも、財政を破綻させて最後にはギロチンで処刑されたルイ16世を見るかのようです。きっと、舛添さんは、都に革命でも起こそうとしているに違いありません」
「特集 首の皮一枚でつながった『舛添要一』都知事を褒めよ!」より
「週刊新潮」2016年5月26日号 掲載