11月15日、「スマホ認知症」という言葉がTwitterでトレンド入りした。同日朝に放送された『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で、特集が組まれた影響とみられる。
番組では、「スマホ認知症 脳が疲れ “ごみ屋敷” 状態に」の見出しをつけ、スマホの過度な使用が原因で認知症のような症状が起きる「スマホ認知症」が増えているという、医師の話を紹介。
脳に膨大な情報が入り続けることで、情報処理が追いつかず、脳の過労によって認知症と似た症状が起きると説明した。
SNSでは、
《スマホ認知症怖いな 完全に自分これだわ》
《スマホ認知症、自分もありそうで怖い 意味なくダラダラスマホ使うのはやめよう》
と、自省する声が多数ある一方で、
《スマホ認知症があるならとうの昔にパソコン認知症だわ》
など、冷ややかな意見も少なくない。
「医療の翻訳家」として医療情報を伝えている市川衛・広島大学医学部客員准教授が、こう語る。
「『認知症』というのは、脳や体の障害や病気によって、継続的に(多くの場合は、不可逆的に)認知機能が低下して、それによって生活に支障が出てくる状態のことを言います。
スマホに限らず、さまざまな情報に触れることで脳が一時的に疲れてしまうことはありますが、休めば元に戻ります。これは認知症とは言えません。
番組の趣旨としては、スマホの使い過ぎに注意を促し、一時的に脳が疲れても、しばらくスマホを使わなければ大丈夫――ということでしょうから、そこは問題ないと思われます。ただ、『認知症』という言葉を使うのは、誤解を与えかねないという危惧はあります」
同じようなことは、新しいメディアやデバイスが登場するたびに言われてきたことだと、市川氏は指摘する。
「テレビは、かつて見過ぎることで脳に発達の遅れが出るのではないかと危惧されましたし、近年では『ゲーム脳』という言葉もありました。新しいものに対する不安はどうしても存在しますし、警鐘を鳴らすこと自体は必要でしょう」
SNSでは他にも、
《なんでもかんでも病名、症状名をつけて不安を煽るいつもの手。テレビ認知症こそもはや絶望的な気がするけどなぁ〜笑》
《テレビ認知症の方が深刻だと思うんだがね》
と皮肉る声も。スマホに限らず、物事は「ほどほど」がよろしいようで。