お盆の帰省ラッシュを前にガソリン代が急騰している。7月末のレギュラー・ガソリン1リットル当たりの価格は全国平均で176円70銭、15年ぶりの高値をつけた。値上がりは11週間連続だ。原因は政府が物価高騰対策のガソリン補助を毎月減らしてきたからで、補助が完全に打ち切られる9月末には、「1リットル=200円」時代に突入すると見られている。
だが、国民がガソリン代の高騰に苦しむ中、政治資金で大量のガソリンを使いまくっている政治家がいる。本誌・週刊ポスト(8月7日発売号)が報じた山口壮・前環境大臣だ。
山口氏が代表を務める政党支部(自民党兵庫県第12選挙区支部)は、大臣に就任した2021年にガソリン代を年間約275万円も支出していた。同支部が使うスバル・フォレスターのカタログ燃費で換算すると、走行距離は年間約24万km、地球6周分になる。
月別に見ると、大臣就任直後の2021年11月のガソリン代は約31万円、兵庫と東京を毎日車で往復するような金額なのだ。
ガソリン代が多かったのはこの年だけではない。公表されている同支部の3年分(2019〜2021年)の政治資金収支報告書を見ると、2019年は約242万円、コロナの外出自粛が続いた2020年でも約196万円のガソリン代を支出していた。本誌記者が山口事務所が利用する複数のサービススタンドを取材すると、従業員がこう語った。
「山口事務所はお得意様です。支払いはツケで、スタッフの方にそのつど伝票にサインして毎月まとめて払ってもらっています。選挙の時の選挙カーの場合は、いつものガソリン代とは別に分けて請求しています。
ガソリン代以外のオイル交換や洗車などの支払いはそのつど山口事務所の秘書さんたちが現金で払っていき、こちらから請求書を出すことはありません」
つまり、ガソリンだけでこれだけの額を支出しているということのようだ。3年分のガソリン代から走行距離を計算してみると、約68万キロ走ったことになる。山口氏の政党支部や資金管理団体が車検費用や自動車税を負担している車は、スバル・インプレッサ、スバル・フォレスター、日産スカイラインの3車種だ。自動車ディーラーはこう言う。
「3台で68万キロとすると、それぞれの車が3年間で平均20万キロ以上走っていることになる。そんなに走るのであれば、私なら毎年1台ずつ車を買い換えるように勧めますね」
国民はガソリン補助金を減らされて苦しんでいるのに、政治家は政治資金でガソリン使い放題とは、国民が怒るのは当然なのだ。