10月29日、河野太郎デジタル相は、マイナンバーの紐づけミスなどのトラブルを受けおこなっている政府の総点検について、「順調にいっている」との認識を示した。現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードに一本化する方針については「来年の秋を目指してしっかり頑張っていきたい」と述べ、予定通り実施する考えを強調した。神奈川県二宮町で開かれた利用体験会を視察後、記者団に語った。
10月27日、厚生労働省は、マイナ保険証の9月の利用率は4.5%だったと公表。5カ月連続の低下で、別人情報のひも付けなどトラブルが発覚した影響とみられている。
だが、河野氏は、「便利ということが伝われば増えていくと思うので、今のところあまり心配はしていない」と述べた。
この河野氏の発言に、SNSでは批判的な声が多く上がっている。
《何が順調だ!振り回されている自治体職員等の苦労を少しは考えろ!》
《トラブルだらけで順調な訳ないじゃん。一旦失った信用は戻らない》
《いやこれなんなん。順調?例えばどこが?ようそんなデマカセがツラツラと出てくるな》
立憲民主党の杉尾秀哉参院議員は、本誌10月24日発売号で、河野氏をこう評していた。
「なにより質疑をしていて感じるのは、少数派への配慮に欠ける点。自分が気に食わないことがあると、すぐ態度で示す。面倒くさい相手は切り捨てて説得する気がなく、まるで唯我独尊。政治家が家業で、同質性の高い環境で育ってきたからでしょう」
10月31日、参院予算委員会で杉尾氏がマイナ保険証について河野氏に質疑をおこなう場面があった。
杉尾氏によると、2022年6月の政府の方針では、2024年度中にマイナ保険証と紙の保険証の選択制を目指し、その後、保険証の原則廃止を目指す二段階方式が取られていた。
だが、同年9月に河野氏がデジタル相に就任すると方針が一変。10月13日に、総務相、厚労相、デジタル相の3閣僚が岸田文雄首相と官邸で協議。同日に河野氏が記者会見で「2024年秋に健康保険証の廃止を目指す」を表明した。
「なぜ選択制を導入しなかったのか?」と杉尾氏に問われ、河野氏はこう答弁した。
「マイナンバーカードを保険証と紐づけし利用する人に、保険証を発行する必要はなくなるので、コストが下がっていく。選択制ではなかなかコストが下がらない」
杉尾氏によると2022年10月28日に、2024年秋の保険証廃止の方針を閣議決定。その後、初めて厚労省の医療保険部会で専門家の議論を聞くことになったという。その点を問われた河野氏はこう答弁した。
「3閣僚で進むべき方向性を決めたうえで、たどりつくためになにをやらなければいけないか、どういう課題があるのか、専門家に議論してもらうのは当然のこと。
専門家といえども、進むべき方向がわからなければ議論が拡散する。進むべき大枠の方向を決めたうえで、なにが必要か議論してもらった」
杉尾氏はさらに、河野氏にこう問いただした。
「専門家の意見も聞かず、政治の都合で勝手に決めて、あとは専門家になんとかしろと。こんなデタラメな行政があるか。いまマイナ保険証で起きているトラブルは河野大臣が元凶。その意識はあるのか? その反省なくして、いまのトラブルは改善できないのでは?」
これに対し、河野氏はこう答弁した。
「マイナンバーカードの保険証としての利便性が周知されるにしたがって、利用率は上がっていくと思うので心配していない」
河野氏のマイナ保険証をめぐる答弁に対しても、SNSでは批判的な声が上がっている。
《マイナ保険証の失敗を認めようともせず、木で鼻を括ったような答弁で開き直る無能ぶり》
《河野太郎の答弁が劣悪すぎる。マイナ保険証の何が駄目なのか? 全く頭に入ってないポンコツぶり 専門家をスルーし問題が出たら専門家に丸投げ》
《今日の河野太郎の答弁で、さらにマイナ保険証の利用率は下がるだろう》
河野氏が語るように、マイナ保険証の利用率は上がっていくのだろうか? 利用率4.5%と低調なまま、2024年秋に紙の保険証が廃止されれば、混乱は避けられない。