「パパ活」。いまや、多くの人が一度は耳にしたことのある言葉だ。もともとは“裕福層の男性が、金銭的な理由で夢の実現が難しい女性に対し、お金を支援する”という意で使われていた。
しかし、近年その意味は変わりつつある。
それは、“パパは必ずしも裕福層の男性とは限らない”ということだ。
標的は年収400万の孤独な男性
「そもそも金持ちのおじさんって、金を引きにくいんだよ。交友関係も広いし遊び方を知っているから、趣味とかキャバクラにもお金を使い慣れている。狙いやすいのは、年収400万円くらいの遊び方を知らない、さえなくてモテなさそうなおじさん」
そう語るのは友人のF。豊満なバストに童顔のたぬき顔。いかにも男性に好かれそうな容姿をした彼女。身分証や年収証明などが必要とされるパパ活アプリではなく、通常の恋活用のマッチングアプリで“パパとして育てられる男性”を探している。
「マッチングアプリに登録しているような年収400万の男性に、パパ活なんてできるのか」と素朴な疑問をぶつけると、彼女は「さえないおじさんって、稼ぎが少なくても使うところがないから貯金はあるんだよ」と笑った。
趣味もなく、友達もいない。だから、マッチングアプリに登録して彼女を作ろうとするが、まったく相手にされない。さえないおじさんは、同時に孤独だ。
「そういうおじさんにガチ恋(本気の恋)をさせるのは簡単。女性に相手をされたことがないから、連絡を取るだけで喜ぶし。そこから徐々に“頼れるのは〇〇さんしかいない”って刷り込んで、その人にとって唯一無二の“日常の光”になることができれば、自らを犠牲にして貢ぐものだよ」(友人F)
お金を引くテクニック
一度、彼女が年収400万の孤独な男性からお金を引く所を、実際に目の前で見たことがある。相手はもちろん、通常のマッチングアプリで出会った、一回り以上も年齢が上の男性だ。
最初は「年上が好きだけどなかなか出会いがないから、〇〇さんと出会えて嬉しいな」と、毎日のようにたわいないLINEのやり取り、そして短い電話を繰り返していた。
そして、男性にとって彼女の存在が当たり前になったところで、「〇〇さんごめんなさい。学費を払っちゃったからお金がなくて、お給料日まで携帯が止まることになっちゃった。心配をかけちゃうと思うから、先に言っておくね。毎日〇〇さんとやり取りしてたから寂しすぎる、本当にごめんね」とウソを付く。
すると、毎日やり取りをすることがあたりまえになっていた男性は“日常の光”である彼女との連絡が途絶えることを恐れ、自ら「携帯代(利用料)っていくらなの?」と工面しようとするのだ。
高級なバッグは買えなくとも、数万円の携帯利用料くらいなら、彼らでも払える額である。そうして彼女はあっという間にPayPayで3万円を送金してもらい、私にピースをして「焼き肉でも行こー!」と笑った。
ちりも積もれば大きな出費
「〇〇さんとのデートに着て行く服がない」「ネイルが伸びちゃったのにネイルに行けない」などと言いながら、2〜3万円のお金を引っぱっていく。
それが週に一度や二度だとしても、積み重ねればその額は10万円になり、気が付いたら貢いでいる状態になる。少額の細かな出費は、案外気に留めない。
ましてや付き合っていると思い込んでいる男性は、優越感に浸っていることもあり、現実なんて見えやしないのだ。
ちなみに、服はメルカリで購入するから実際に費用はそんなにかからないし、ネイルが伸びた写真”は友達から提供してもらったものだ。なんともしたたかである。
孤独は強者の格好の餌食
悲しいことに、孤独は騙(だま)す側にとって格好の餌食である。相談できる人がいないということは、その状況を止める人間がいないという、最高な環境なのだ。
また孤独な人間にとって、自分を頼ってくれる人間や日常に彩りを与えてくれる人間は、これまで暗闇だった道を照らす光であり、生きがいにもなる。
だからこそ年収400万の孤独な男性は、決してぜいたくができなくとも“自分が少し我慢すればいいだけ”と少ない所得の中からお金を捻出し、好きな女の子のためにお金を使う。
もちろん当のおじさんたちは、それが彼女たちにとってパパ活の一種であるということには気が付かない。キャバクラの色恋営業と同様に、付き合えると信じて交流を続け、少しずつ金銭を搾取されているのだ。