日本の大卒初任給、「ニューヨークの最低賃金」を下回る
…「日本・一人負け」の切実な実態
大卒の初任給についても確認しておきましょう。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、大卒初任給は男女計で22万8500円で、男性が22万9700円、女性が22万7200円となっています。これを単純に12倍して年収に換算すると、男女計で約274万円、夏と冬のボーナス(給料の2か月分)を含めると約320万円となります。
日本の大卒初任給を海外と比べると、驚くべき事実が明らかになります。アメリカの人材組織コンサル企業、ウィリス・タワーズワトソンによると、2019年の大卒初任給(平均年額)は、スイスで800万円超、アメリカで632万円、ドイツで534万円でした。
これに対して、日本の大卒初任給は経団連の調査によると262万円に過ぎませんでした。一番、高いスイスと比べると、日本の賃金は3分の1以下であり、その差は歴然としています。また、アメリカやドイツと比べても半分以下の水準です。
韓国とも比較してみましょう。日本貿易振興機構(JETRO)の調査レポートによると、2019年の大卒初任給は、日本の2万7540ドルに対して、韓国は2万7379ドルとなっており、全体としては両国でほぼ変わらないものの、大企業では韓国が日本より高く、従業員数99人以下の中小企業では日本の方が高いとしています※1。
ところで、ニューヨーク市の最低賃金は15ドルです。週5日1日8時間で働いたとすると、月に160時間×15ドルで月給は2400ドルになります。1ドル=130円で換算すると、約31万円です。日本人の大卒初任給は月額約23万円なので、ニューヨーク市の最低賃金を下回ることになります。
もっとも、ニューヨークと日本では物価が異なるので、生活水準については簡単に比較できませんが、額面上の給料にこれほどの差があるというのは驚きの事実です。