伊方原発運転差し止め訴訟 住民の請求を棄却

伊方原発運転差し止め訴訟 住民の請求を棄却 大型訴訟では初の判決 大分地裁

愛媛県の伊方原発3号機について、対岸50キロ以内にある大分県の住民が運転の差し止めを四国電力に求めた裁判で、大分地裁は7日、住民側の請求を棄却しました。

この裁判は愛媛県伊方町にある四国電力伊方原発3号機の運転差し止めをめぐり、7年半にわたって審理が続けられてきました。原告の大分県の住民569人は「原発の安全性が確保されていない」などとして運転の差し止めを求め、被告の四国電力は全面的に争う姿勢をみせていました。

主な争点となっていたのは
(1)「法的な判断の枠組み」
(2)「原発周辺の活断層の有無」
(3)「火山噴火に対する安全性の評価」

原告の住民側は
(1)「専門的な見解が対立している場合には、より安全性の高い見解を採用すべき」
(2)「3次元探査を実施しておらず、活断層の存在を正確に把握できていない」
(3)「極めて大規模な阿蘇山噴火による火砕流など火山のリスク評価が不十分」
と主張。

被告の四国電力側は
(1)「原子力規制委員会の見解や多くの専門家が唱える多数説を採用すべき」
(2)「海上音波調査など、地下構造を3次元的に把握して、活断層が存在しないことを確認している」
(3)「様々な専門書、調査から阿蘇山の巨大噴火の可能性は十分に小さい」
と反論していました。

7日の判決で大分地裁は、原告側が訴えていた3次元地下調査が行われていない点について「各種調査や2次元物理探査を適切に組み合わせることで判断が可能」としました。また原発の近くにある中央構造線断層帯について、多数の専門家の判断と同じく地質の境界が活断層ではないとする四国電力側の評価は合理的だと認定しました。さらに火山噴火に対する安全性の評価についても「巨大噴火の発生頻度は極めて低く差し迫った状態でない」としていずれも住民側の主張を退けました。

判決を受けて、原告の女性は「私たちは怖い思いをしながら力をあわせて闘ってきたのに、なぜわかってくれないのか。命にかかわることが、このような結論になり、怒りの念でいっぱいです」と語りました。

一方、四国電力の担当者は地裁前で報道陣の取材に応じ、「主張が認められ妥当な判決だった。引き続き原発の安全性確保に努めたい。他の裁判も係争中ですが、今後も分かりやすい立証、主張を心がけ闘っていきたい」と話しました。

伊方原発の運転差し止めをめぐっては大分のほか松山、広島地裁と山口地裁岩国支部の3か所で起こされていて、2017年12月には広島の住民の申し立てで広島高裁が運転差し止めの仮処分を決定しましたが、翌年9月に四国電力側の異議を認め翌年3月に再稼働を容認。広島高裁は2020年1月にも山口の住民の申し立てで運転差し止めの仮処分を決定したものの、同じく四国電力側の異議を認め翌年3月に再稼働を容認しています。

一連の大型訴訟では初めての判決で、62席の一般傍聴席に対して239人が抽選に参加し、長い列をつくっていました。

原告の弁護団は、「四国電力の主張を鵜呑みにしたものであり、司法に課せられた使命を放棄したものである」と批判。さらに「能登半島地震では自然災害の発生時期や規模を予測することの困難性を明らかにした。本日の判決は、こうした貴重な教訓に背を向けるものであり、断じて容認することはできない」として控訴する方針を明らかにしています。
posted by РМН at 00:00| Comment(0) | 財政破綻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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