「後悔はするけれど反省はしない」「今度は捕まらないようにしようしか考えていない」元受刑者が語る刑務所で出会ったヤツら
警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は「受刑者は刑務所で更生のために反省するのか」について。
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「完全ホワイト案件」「違法性なしの高額案件」「即日即金のバイト」などSNSには高額をうたう闇バイトの投稿が次から次へと現れる。今年に入り頻発している緊縛強盗では、闇バイトに応募した実行役が逮捕された。金欲しさに安易に応募し、犯罪者となってしまった彼らは、警察の取り調べで後悔を口にしていると報じられている。
様々な事案、事件に関係することが多いヤクザたちは、ほとんどが懲役刑の経験者だ。有罪判決を受け刑務所に拘禁された彼らには、刑務作業などを行いながら、二度と同じ過ちを繰り返さないよう更生教育が行われる。しかしヤクザたちは出所後、幾度となく犯罪に加担し逮捕されることを繰り返す。
ヤクザは反省しないのか?と尋ねると、「ああすればよかったと後悔はするけれど反省はしない。自分が入っていた刑務所で、反省するヤツはいなかった」と暴力団の現役組長はいう。「反省は謝ることではない。本当の反省は自分の言動を振り返って、もう二度と同じ過ちを繰り返さないように改めることだ。そんなヤツはあそこにはいないね。もう二度とやらないと心に決めるヤツなんて、本当に少数だ」と鼻で笑った。3〜400人いる受刑者の中で、反省する者は1人いるかどうかだというのだ。
「出所する時には更生しようではなく、あそこにいるヤツらは、今度は捕まらないようにしようしか考えていない。犯罪を繰り返し出たり入ったり、人生のほとんど何十年も刑務所にいっているのもいるんだから、そんなもんだよ」と組長は声を上げて笑った。「ヤクザである俺たちが収容されるような刑務所は、そういうヤツばかりだよ」という。組長がいたのは長期刑の受刑者が入る刑務所だ。
「あそこは毎日が嘘の自慢話との闘いだ」と話す組長は、「まともな人間は1人もいなかった。だいたいみんな犯罪者なんだから。半分近くが泥棒で、後は薬や詐欺、殺人とか。そんな中でみんな、つまんない嘘を自慢して生きているんだから、更生できるわけがない」。
あそこにいて更生するはずがない
刑務所の中で受刑者らがつく嘘は覚せい剤で逮捕された者なら「俺は覚せい剤を10kgパクった」「億単位のヤクを密輸した」というようなもので、泥棒なら「俺はきちんと住人がいる時に盗みに入った。人がいない時に侵入するなんて、そんな汚い真似はしない」「俺はトイレにまで入って、用を足してきた」という類のもので、「わけのわかんない自慢話でね。あの中は日々、そんな話ばかり聞く所だから更生するような所ではない。あそこにいて更生するはずがない」とまでいう。
裁判などの際に報道されるような犯人が事件を起こしたことを後悔し、反省している、罪を償い更生を誓う、というようなことは、彼らには当てはまらないと組長は説明する。「ヤツらは口では『反省してます』って言うけど、そんなヤツは1つも反省してないね。簡単に反省っていうけど、今度はパクられないようにしようと思っているだけ。ごめんなさいは誰でも言えるけど、二度と繰り返しませんと誓えるヤツはあそこにはいない」。
「反省できる人間は、社会にいてもどこにいてもちゃんとした人間だ。嘘を繰り返しているような人間に反省はない。ヤクザものは簡単に反省って口にするなだ」
反省しない彼らは刑務所の中で、日々何を考えているのか。組長は「先のことは考えない、考えても無駄なんで。無期懲役以外は出所する日が決まっている。出たら何をしようかなんて、間近になってから考えることだ。刑期が3年なら、入ってから折り返し地点までは、そこで楽に過ごすことしか考えない。折り返し地点になって初めて、出所した時のことを考える。出所するのが春だろうが、秋だろうが、カレンダーが新しくなって”おっ、今年は出れるな”というところから、先のことを考えるようになる」。
改めようと振り返って考えるのは、捕まらないための犯罪の手口であって、己の将来や生き方ではないようだ。