先月23日、東京・日本橋のマンションに設置された資源回収用コンテナに放火した疑いで18歳のアメリカ人観光客の男が逮捕された。
報道によると、防犯カメラに火をつける瞬間が映っていたというが、本人は「覚えていない」と否定。男は観光目的で家族と来日しており、東京ディズニーランドや秋葉原などを観光し、逮捕された日に帰国予定だったという。
なお都内では同月21日未明から中央区、墨田区(いずれも半径約2km以内)で不審火が相次いでいたことから、捜査機関は関連性を調べている。
放火の“罪の重さ”、どのくらい認識していた?
なぜ、観光に来た日本で放火したのか――。
日本において、人が居住している、あるいは人のいる建物や電車、新幹線などへ故意に放火した場合は「現住建造物等放火罪」(刑法108条)に問われる可能性が高い。法定刑は「死刑/無期、もしくは5年以上の懲役」で、文字通り“重罪”だと言えるだろう。
今回の事件で男の動機は明らかになっていないが、本人は放火の罪についてどの程度の認識があったのだろうか。アメリカの法律に詳しいタイタノ誠弁護士は、アメリカ国内における放火の罪の重さについて、次のように説明する。
「逮捕された人物がどの州から来たのかはわかりませんが、たとえばカリフォルニア州では、故意性が認められる放火の法定刑は『9年以下の拘禁刑、または1万ドル(10月31日のレートで153万4700円)以下の罰金』となっています。
放火の結果、誰かが亡くなったりケガをした場合には、殺人罪(25年〜無期の拘禁刑)や殺人未遂(15年〜無期の拘禁刑)が適用されることになるかと思います」
なお、これらはあくまで各州が定める「州法」の話で、国の施設などに放火した場合には、その一段上にある「連邦法」が適用されることになるという。
「連邦法では、放火に対して最低5年、最高20年の拘禁刑が定められています。もし放火によって誰かにケガを負わせた場合、拘禁刑の期間は最低7年、最高40年となります。
州法、連邦法にかかわらず、故意性が認められれば、基本的に放火の罪で不起訴になることはなく、何かしらの刑が科されます。そのくらい、アメリカにおいても放火は重い罪として捉えられています」(同前)
なお「18歳」という年齢については、「アメリカでは成人にあたり、司法上も同様に裁かれる」とのこと。
「ただしカリフォルニア州のように、たとえ未成年者(18歳未満)でも、16歳以上であれば、放火など重大な罪を犯した場合に裁判所の許可を得て成人と同様に裁かれることもあります」