2012年10月29日

中国“対日圧力”の引き金引いた「TPP参加見送り」

中国で反日デモが巻き起こり、日系企業の建物一部などが破壊される騒動となったが、明らかに政治権力が仕組んだ“官製デモ”である。その意味で、中国漁船監視船の尖閣侵入と同様、中国の対日圧力の一環と見ていいだろう。

では今回、中国はなぜ日本に圧力を加えるという挙に出たのか? 中国は「日本政府による尖閣購入は反対」というが、もともと日本政府が尖閣購入に動いたのは、政権の人気取りもさることながら、石原慎太郎都知事が計画した東京都による尖閣購入を阻止するのが狙いだった。

尖閣諸島は日本領だが、中国が領有権を主張したので、日本政府はこれまで中国を刺激しないように現地の整備・開発を控えてきた。

しかし石原都知事は、整備・開発をしないで放置すれば、かえって中国人による不法侵入、不法占拠により尖閣侵略を招く可能性があるとみて整備・開発を主張し、「国がやらないのなら東京都でやる」とばかりに購入を計画したのである。

この購入計画が中国を刺激することを恐れた野田政権は、先手を打って政府で購入し尖閣の整備・開発を阻止した。つまり、国有化は日本政府の中国への配慮にほかならない。なのに、中国はその配慮が「けしからん」と言うのである。

中国は「尖閣はそもそも中国領だから、その土地を勝手に売買すること自体が許されない」と主張している。ならば日本政府が国有化を撤回し、もとの地権者に尖閣を買い戻させても、やはりそれは許されないことになる。日本の法律に基づいた土地の売買契約を認めれば、尖閣の土地が日本領だと承認したことになるからである。

つまり、中国の言い分をすべて呑むためには、日本は中国に尖閣を献上するほかない。中国は、日本を逃げ場のない状況に追い込んだといえる。

さて、こうした“逃げ場のない状況”のことを、国際政治では“戦争”と呼ぶ。武器を取って戦うか、それとも降伏するかの二者択一を迫られているわけだ。そうなれば、日本は自衛隊を出動させるしかない。現に日本政府は、南西諸島に自衛隊を常駐させる計画を検討している。

しかし、検討するばかりで実際に自衛隊が動く気配は一向にない。なぜか? 米軍の同意が得られないからである。

米国は「尖閣は日米安保の対象だ」と明言している。従って、自衛隊が出動して中国と戦争が始まれば、米軍は必然的に日本側に立って参戦する。日本にとっては頼もしい限りだが、米国にとっては迷惑この上ない話である。

好戦的だったブッシュ前政権と違い、現オバマ政権は海外派兵に消極的。「米国はこれ以上戦争の負担に耐えられない。日本は揉め事を起こさないでくれ」――戦争を吹っかけているのは中国なのに、たしなめられるのはなぜか日本のほうだ。

■「尖閣を守ってやる」米国への見返りは……
10年9月の中国漁船衝突事件の後、11月に来日したオバマ米大統領は菅直人首相(当時)に、日本にTPP(環太平洋経済連携協定)に加入するように勧めた。TPPは加盟国間の相互の市場開放を名目にしてはいるが、要するに米製品購入の強要であることは、ペリー来航の昔から一貫して変わることはない。

衝突事件直後にクリントン米国務長官が「尖閣は日米安保の対象」と一言言ってくれたおかげで、日本は一時的に助かった。そこでオバマ大統領は「尖閣を米軍が守ってやる見返りに、日本の市場をよこせ」と菅首相を脅したわけだ。

野田総理は今年8月にTPP参加表明をすると米国に約束していたが、国内に反対論が根強く、9月初旬のAPEC首脳会議でも参加表明できなかった。

そして9月中旬から、中国の反日騒動が始まった。中国からみれば、日本のTPP参加見送りは「米軍尖閣を守らず」を意味する。尖閣に絡めて対日圧力を強める好機と捉えたことは間違いあるまい。

果たして、困惑した米国のレオン・パネッタ国防長官は、同月16日に訪日。まず自衛隊出動がないことを確認した後、19日に北京で習近平次期国家主席と会談。「中国は軍事行動を直ちに取らない」という約束の見返りに、中国の領有権主張(無茶苦茶な主張だが)に理解を示した。

米国が理解を示した主張なら、国際社会も理解を示さなくてはならない。かくて中国は国連総会で主張を展開し、日本は従来の「領土問題は存在しない。従って中国と尖閣について話し合う必要はない」という立場から後退を迫られ、今後は尖閣の領有権を巡って、中国と話し合わなくてはならなくなっているのである。
posted by РМН at 19:00| Comment(0) | 某掲示板より転載 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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