▼不安な年金
「経済誌で広告を見て、最初はそんなおいしい話はないと思った。だからだまされるのを覚悟の上で、平成12年に1口150万円を出資した」
東京都世田谷区の無職の女性(62)はそう話す。12年は年金改革が行われ、受給年齢の引き上げが決まった年。女性は当時会社員だったが、独身で厚生年金の支給額も十数万円程度と予想していた。「独りの将来が不安だった」
しかし150万円は2年後、200万円近くになって戻った。MRIからは追加出資の勧誘もなく、当初の疑念は薄まっていった。その後出資を繰り返し、6口、計900万円を出資するに至った。
「このお金が消えてしまったら将来設計が狂ってしまう。一部でも返してほしい」
▼銀行低金利
都内に住む無職の男性(72)は、息子夫婦を援助しようと出資。「年金では生活できるだけで、お金はたまらない。子供や孫に少しでもお金を残してやりたいと思った」と話す。
友人の誘いで貯金から300万円を出資したのは約10年前。4年間で300万円が約500万円になった。3年前には貯金のほぼ全額に近い1500万円を5年後に受け取る契約で出資。「配当で息子夫婦の自宅ローン支払いを助けようと思った。今回のことで、逆に息子に怒られるかも」と力なく笑った。
約5千万円を出資した世田谷区の男性(57)は約10年前に椎間板ヘルニアを発症、仕事を辞めた。自宅では高齢の母親を介護しており「配当は生活費に充てるつもりだった。低金利の銀行預金では資産は増えない。投資以外の収入はない。元本だけでも返して」と悲壮な表情で訴えた。
あるファイナンシャルプランナーは23年、MRIのセミナーの講演依頼を受けた。すでにMRIが投資金を配当に直接回す自転車操業に陥っていた時期だ。
プランナーは高利率に疑問を持ったが、MRI日本支店幹部との打ち合わせで「リターンに見合うリスクを取った金融商品」と確認し、セミナーに参加。セミナーではMRIの診療報酬請求債権(MARS)ビジネスを疑問視する質問も多く出たという。
幹部に「新規の資金を集めて大きくするより、良い口コミが広がるようなフォローが大切では」とアドバイスすると、幹部は「誤解がないよう商品説明していきたい」と答えた。
「私の話は(顧客を開拓したい)MRIのセミナー趣旨と合わなかったのかもしれない」(プランナー)。以降、講演依頼は来なかった。
>背景には、年金受給年齢引き上げへの不安、銀行の低金利があるようだ
むしろ義務教育である小中学校の社会科の授業で「ハイリターンのものほどリスクが高い」という当たり前のことをちゃんと教えていないことの方が問題ではないのか?
「利率が高いものは良いもの」という誤解してる日本人大杉