2016年02月26日

<被災地>「幽霊現象」体験談多数紹介宮城でシンポ

 「初夏なのに真冬のコートを着た女性を乗せた。目的地に着いて後部座席を見ると誰もいなかった」「人をひいて慌てて車を止めたのに誰もいなかった」……。仙台市青葉区の東北学院大で24日開かれたシンポジウムで、東日本大震災の被災地で「幽霊現象」の体験談が多数語られていることが紹介された。

 社会学を学ぶ教養学部4年の工藤優花(ゆか)さん(22)が、石巻市のタクシー運転手が体験した「幽霊現象」について書いた卒業論文が反響を呼んだことから同大がシンポジウムを企画。学生や市民ら約150人が熱心に耳を傾けた。

 工藤さんは2013年5月〜14年3月、毎週石巻市を訪れてタクシー運転手約200人に聞き取り調査し、7人から運転日誌に記録したりメーターを切ったりして乗車を確認したはずなのに客が消えてしまったなどの話を聞いた。

 工藤さんはこの運転手たちには幽霊への恐怖心がなく、畏敬(いけい)の気持ちを持っている印象を受けたという。その理由については「地元への愛着や震災で突然亡くなった人への共感が、幽霊への理解を生んだのではないか」との見方を示した。

 東北地方の怪談や心霊現象を集めた書籍を出している仙台市の出版社「荒蝦夷」の土方正志代表もマイクを握り「周囲の人の突然の死を受け入れられない人たちの思いが幽霊には投影されているのかもしれない」と分析した。

 終了後、工藤さんは「調査中、心のどこかで被災した経験を乗り越えられず、前向きになりきれない人にたくさん出会ったので、震災5年を迎える今、そういった人たちの心のケアをしていく必要があると思う」と話した。

 東京都三鷹市から訪れ、報告を聞いた大学院生の松永優子さん(27)は「復興が進んでも被災者の心の傷が深いことが、幽霊を見るという現象になって表れている。継続して支援する必要があると感じた」と話した。
posted by РМН at 12:00| Comment(0) | 某掲示板より転載 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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