2020年03月31日

新型コロナで“被害者”続出か? 金融業者にカモにされた高齢者が「想定できなかった損失」

昨年8月、金融機関にとって衝撃的な事件が発生した。

 東京・江戸川区に住む71歳の男性が大手証券会社の担当社員を自宅に呼んで「ぶっ殺す」と迫り、脅迫容疑で逮捕された。男性は、妻が購入した金融商品で500万円の損が出たことに腹を立てていた。担当社員を呼び出した時に刃物を持ち出しており、惨劇が起きたかもしれなかった。


 問題は、この男性や妻だけが“被害者”ではないことだ。

新型コロナで“特殊な金融商品”に手を出した高齢者が……

  新型コロナウイルスの影響で世界中の株価が暴落し、為替が乱高下している。

 暴落により投資家は至るところで損失を出しているが、中でも、内容を理解できないまま“特殊な金融商品”を購入した高齢者の損失が爆発する可能性があるという。

 冒頭の事件の男性の妻が購入したのは、国内の証券会社が13年〜15年に販売した「仕組み債」と呼ばれる金融商品の1つ。

 国が発行する国債や企業が発行する社債などの「債券」は、投資家が購入すれば、約束された金利が付いて5年後、10年後などの満期時に償還される。国や企業が破たんしない限り金利が付いて償還されるため、安定した投資先と言える。

「仕組み債」も債券の一種だが、オプション取引を組み込んだもので大変複雑だ。

購入者2万人、損失額は合計1000億円超え

 男性の妻が購入した仕組み債は5年満期で、トルコの通貨「リラ」やブラジルの通貨「レアル」に連動し、為替が安定していれば4〜10%の高い利回りが得られる一方、通貨が安くなれば一気に大きな損失が出るものだった。

 販売された当時、ブラジルは2016年のリオデジャネイロ五輪が控え、トルコは24年の五輪開催が期待され、「通貨は安定して高くなる」と謳われた。しかし実際は逆に通貨が安くなり、この仕組み債を購入した2万人が次々と損失を出し、損失額は合計で実に1000億円を超えるという(人数は件数で、1人が2件以上購入している場合がある)

失った老後資金を挽回できない

「自分も買っているので大丈夫。利息が6〜10%と高いし、ブラジルはオリンピックを控えているので発展する」

 70代前半の男性は5年前に証券会社の担当者にこう勧められ、仕組み債であることを知らずに購入して大きな損失を出した。男性の収入は年100万円の年金しかなく、決して裕福ではない。老後資金が失われたことが分かると、鬱病を発症したという。

 こうした被害も取材し、問題を追及しているフリーライターの半田修平氏が話す。

「多くの人が定年退職した後に金融機関から勧められて購入し、70歳を超えた5年後の満期に数百万円、時に1000万円を超える損失を被ったので深刻です。失った大事な老後資金を挽回できる年齢ではありません。

 問題は、国債など普通の債券をイメージして購入した人が多いこと。しかし実態は債券ではなく、為替の変動リスクを負う代わりに“掛け金”を貰うオプション取引なのです。購入時にこの仕組みを理解できていた人は皆無でしょう。オプション取引はプロが行うものであり、仕組み債を普通の投資家に販売するべきではありません」

仕組み債で高齢者の被害が続々

 この商品だけが問題ではなく、これまで販売されてきた仕組み債全般で高齢者の被害が出ている。

「相続した不動産を売却して安定資産として円建て債券を保有していたが、金融機関担当者に勧められて売却し、リスクの高い外貨建て債券を購入して730万円の損害」(60代後半女性)

「金融機関担当者に勧められ、老後資金の大半である従業員持ち株会で積み立ててきた株をすべて売却して外貨建て債券を次々と購入し、為替の変動により4129万円の損害」(70代前半男性)

「金融機関担当者に対する信頼が厚く、勧められるままにEB債(仕組み債の一種)、外国株、投資信託などのリスク商品を次々と購入して2563万円の損害」(70代後半女性)

「金融機関担当者に提案されて複雑な仕組みの外貨建て債券を2本購入し、為替の変動等で800万円の損害」(80代前半女性)

(「証券・金融商品あっせん相談センター」公表の19年10月〜12月の事例)

日経平均株価が“爆弾”である理由

 リスクの高い金融商品が一般の投資家にも販売されはじめたのは、長く続く低金利が影響している。

「金利は預けたお金に対して付く利益のことですが、日本では金利が1%を割って長く、今はマイナス金利。金融機関は普通に金融商品を作っても利回りが低くて売れないため、利回りを高くするために、オプション取引などを組み込んだ金融商品を作りました。期待利益が高くなる分だけリスクも高くなりますが、売れるから売っているのです」(経済誌記者)

 今、“爆弾”と見られているのが、東京株式市場の日経平均株価がさらに下がった時のことだ。

 仕組み債には日経平均株価に連動する商品も多い。これもオプション取引を組み入れたものだが、日経平均株価が安定して上昇すれば6%、7%と高い利益が出るため、ア'ベノミクスで株高になって以降、販売が急増した。

 しかし特殊な条件が付き、逆に日経平均株価が下落して一定ラインを下回ると、巨額の損失を被ってしまう。

「日経平均株価が2万円を超えていた時に販売された仕組み債は、この一定ラインを1万5000円前後に設定したものが多いと見られ、今後、日経平均株価がさらに下がってこのラインを割れば、仕組み債を購入した投資家の損失が爆発的に増えるのです」(同)

 新型コロナウイルスが世界に広がり、様々な影響が出ている。とりわけ経済への影響は大きくなるばかりだが、国家が個人救済も含めた対策に動いて1年後には落ち着き、経済は回復するという見方も小さくない。しかし、この仕組み債による損失は国家が救済するとは考えにくく、多くが高齢者という点で問題は深刻だ。
posted by РМН at 21:00| Comment(0) | 某掲示板より転載3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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