2020年11月16日

■ 刈羽村の絶望的な選挙

柏崎市長選には、柏崎刈羽原発の再稼働を望むか望まないかを示す選択肢がありますが、実は、刈羽村長選には選択肢がありません。現職の品田宏夫さんは今日まで5期20年も村長を続けていた人物。しかも、前回は無投票当選だったため、選挙になるのは8年ぶり。一応、2012年の刈羽村長選では福島第一原発事故の直後ということもあって、原発反対派の候補者が立ったのですが、2016年にはいなくなり、今年はとんでもない選挙になりました。

現職の品田宏夫さんのポスターは、顔写真もなく、完全なポエム状態。しかも、印刷会社に発注したキッチリとした選挙ポスターではなく、ただのコピー用紙です。村内には35ヶ所しか掲示板がなく、村役場の前にすら掲示板がない状態なので、わざわざ印刷会社に発注するまでもないということなのでしょう。顔写真を乗せると余計にコピー用紙感が出てしまうので、ポスターを使って、あえてお手紙を出す始末です。

一方、新人の後藤浩昌さんは「行政書士」という肩書きなのですが、現職と同じく、こちらもコピー用紙製。一応、顔写真こそあるのですが、何よりマニフェストがぶっ飛んでいて、インパクトは抜群です。何よりも目を引くのは、村民1人あたり300万円を配布するという、とてつもなく巨大な公約を掲げています。刈羽村の人口は今年9月30日現在で4458人。全員に300万円を配るために必要な予算は133億7400万円ということになります。つい先日の岡崎市長選で、新人の中根康浩さんが「市民全員に5万円を配る」という公約を掲げて当選。しかし、それから1ヶ月も経たないうちに、やっぱり市民全員に5万円を払うのは無理だとして、所得の少ない人に方針を発表。これには当然、市民は大激怒。「最初からできもしない公約を掲げていたのか」などと疑問の声が相次ぎ、大炎上状態に。この恨みは必ず4年後の選挙で晴らすと宣言する市民が現れるなど、市長になってから1ヶ月も経たないうちに、市民からの信頼を大きく損なう事態となってしまいました。そんな岡崎市の惨状を知ってか知らずか、刈羽村では1人300万円を給付すると宣言。2つもケタが違う壮大なスケールの公約を掲げているのですが、それでは終わりません。

「国からの交付金を1人300万円分配します」
「ヤギの酪農をけん引します」
「田植えと田畑の管理をドローンで行います」
「無料のタクシーを走らせます」
「コミュニティーバスに自動の昇降機を取り付けます」
「ふるさと納税の返礼率を90%として日本中からかき集めます」
どこからツッコんだらいいのか分かりませんが、2つ目の政策に「ヤギ」が出てくる点。個人経営の小規模な畑にドローンを飛ばしたところで、そんなものはオッサンが自分の目で見た方が早い点。そして何より、ふるさと納税の返礼率をまさかの90%以上にしようとしている点など、とにかくインパクトだけは絶大です。だいたい「電源立地地域対策交付金」というのは、使える用途が限られているため、学校の建設や公園の整備などには使えるけれど、村民に現金として配れる性質のものではなく、どうやって交付金を配るのかは分からないし、現在は「ふるさと納税」の返礼率の上限が3割以下と定められてしまったため、90%の返礼率というのは実現できません。だいたい90%も返してしまったら、手元に入る税収は10%しかなくなってしまうので、どれだけたくさんの人が刈羽村に納税してくれたとしても、ほとんど税収にはつながらないのではないでしょうか。つまり、刈羽村の選択肢は、「原発推進の現職」か「村民に300万円配ると言っているインパクト絶大すぎる新人」かの2択となっていて、とても「原発反対の1票」を投じる空気にはなっていないということです。
posted by РМН at 19:00| Comment(0) | 財政破綻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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