2020年12月31日

財政破綻した町には勝手に行けません

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財政破綻から60年が経過した福島県浪江町。

震災・原発の被害によって廃墟と化した町は、自然災害とは別次元の問題を投げかける。













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2020年03月29日

京都で起きている新型コロナ「観光崩壊」の悪夢

「コロナショック」で京都観光が大ピンチ!

世界各国を覆う新型コロナウイルス・ショック(以下、コロナショック)による経済の減退には大変なものがある。なかでも最も大きな影響を受けているのは、観光産業だろう。

2003年以来、日本は国策として観光政策に力点を置き、とりわけ国際観光(インバウンド)の振興を本格化させてきた。数値目標を次々と達成し、2016年に発表した「インバウンド4000万人」「8兆円消費」に向けて爆走中だったが、ここにきて急激にブレーキがかかった。

とりわけ「観光バブル」と呼ぶにふさわしい状況だった京都の観光産業の凋落は著しい。3月10日に発表された京都市観光協会データ月報によれば、1月は平均客室単価、稼働率ともに前年を上回る好調な数字だったものの、2月以降の落ち込みに強い懸念が示されている。

宿泊激減、宴会皆無、ホテル経営の危機

コロナショック前から供給過多になり、年々稼働率と宿泊単価の下落が目立っていた京都市内のホテルには現在、倒産の危機を迎えている先が続出している。

市内唯一の宿泊系の上場企業である京都ホテルは3月10日、前年5月発表の2020年3月期(非連結)の業績予想について、純利益1億1100万円から純損失1億9200万円(前期は純利益1億7400万円)に下方修正。新型コロナウイルスの感染リスク拡大の影響で、4期ぶりに最終赤字に転落する見通しを示した。

2月に入り、宿泊はざっと4割減。宴会に至ってはキャンセルに次ぐキャンセルだ。

2月後半からの宴会自粛に伴い、ホテルにとって安定的な固定収入になるロータリークラブやライオンズクラブをはじめとする団体の定例会がほぼ全面的に中止。数少ない宴会もキャンセル続出だがキャンセル料も取れない。

筆者も3月2週目に、日航系のホテルで小さな会合を開催したが、通常は当日の欠席者が発生した場合に取られる「料理代」もまったく取らないという異例の対応ぶりだった。むしろ、こんな時に中止にせず開催してくれたお客様には感謝しかない、と声をかけられた。

ビュッフェ形式で料理を提供しているレストランも、当面休業にしたり、テーブルまで料理を運んでくれるオーダーバイキング形式にして提供したりするなど対策に追われている。

収益構造からみれば、まったく割に合わないはずだ。ただ、従業員が暇を持て余しているので、苦肉の策というか、「遊ばせておくよりまし」といった論理で営業が続いている。が、長くは続けられないだろう。

京都の旅館は「収入ゼロ」が続出

中小や新興のビジネスホテルはさらに深刻で、稼働率6割減、7割減というのもざらだ。それも宿泊単価を大幅に下げたうえでだから、売上ベースでみれば目も当てられない。

なかでも最も壊滅的な打撃を受けているのは、修学旅行生向けの団体専門旅館だ。

京都のホテルの業態は、観光客やミドルアッパーのビジネスマンを対象にしたシティホテル、宿泊特化型のビジネスホテル、さらに安価なホステルなどの簡易宿泊所、観光向け旅館、そして、観光客等団体専門の旅館に分けられる。いうまでもなく修学旅行のメッカ、京都では、年間100万人を超える安定した需要があり、特定の老舗旅館がこれを受け持ち、年間の大半を全館貸し切り状態にして運営している。

これらの旅館は、基本的に年間のごく一部の時期以外は一般客を取らず、売り上げの大半を修学旅行に頼っている。これらの旅館は何割減というレベルではなく、文字通り「売り上げゼロ」が続く。とくに安全性が重視される修学旅行は、新型コロナ問題が完全に収束するまで売り上げは見込めない。

悲劇はさらに続く。基本的にこれらの旅行は延期となるのだが、その時期が重なれば、予約をすべて捌ききれず、他のホテルに客が流れてしまう。たいへんな機会損失になるばかりか、リカバリーもできないのだ。

内部留保が潤沢にある会社はともかく、融資をうまく引き出せなかったり、必ずしも財務体質が強くない規模の小さなホテルや旅館はいよいよ行き詰まる。売り上げがゼロになった知り合いの旅館では、正社員の従業員に毎日掃除をさせているらしいが、ついに掃除させるところがなくなり、翌日から何をさせたらいいかと頭を抱えている。

買いから一転、売りが続く「投資案件のホテル」

もう1つの課題は、近年乱立した投資案件のホテルだ。

もともと京都では、ホテルバブルにより高騰した土地を高値で仕込み、ホテルや簡易宿泊所を建設する流れが続いていた。一昨年あたりに参入した後発組など、利回りもギリギリの水準で回してきた。それでも京都なら稼働率が高く、2020年は東京オリンピックもあって1年目から収益が見込めるという前提で建設されたところも多いのだ。

しかし実際には、総客室数は2014年から右肩上がりで増え続け、5万室に迫っているのに対し、客室稼働率は2015年の89.3%をピークに下落傾向にあり、2018年には14年とほぼ同じ水準の86.4%にまで落ち込んでいる(京都市調べ。2019年11月27日付京都新聞より)。

結果、この1、2年で収益率が大幅にダウン。収益狙いの民泊が問題視されていた簡易宿泊所に至っては、京都市の条例改正により、突如として管理者の24時間365日の常駐が義務付けられ、利益率が劇的に下がっていたところに、コロナショックが襲ってきた。

現在、京都市内のM&A案件にはホテル事業が続々登場し、不動産市場にはホテルの売却案件が急増している。マンションに転用できる物件は用途変更し、それができないホテルは体力が続く限り耐え凌ぐ。どちらもできない事業者は、早々に市場からの退場を余儀なくされる。そうした事態が目下進行中だ。

観光産業、過去最大級の危機

京都でホテルの客室数が急増する中、観光産業への過度の依存は危険だと感じてきた私は、1冊の書籍にまとめ警鐘を鳴らした(『京都が観光で滅びる日』ワニブックス、2019年)。

今となっては、みなさん身に染みて感じているだろうが、観光産業は風評に影響されやすい。為替リスクや政情不安(日本の場合は中韓関係)、自然災害、噂・デマといったさまざまな風評の影響を、いい意味でも悪い意味でももろに受ける産業で、企業の自助努力では天変地異並みにリスクヘッジが難しいという課題を抱えている。

しかし、これは今に始まった話ではない。関係者はよくわかっているはずだが、時間が経つと忘れ去られ、目先のイベント(オリンピックなど)に目を奪われ、翻弄されてきただけである。その結果がこれだ。

過去最大となる観光産業の減速

過去30年で見ても、京都の観光産業は3度にわたり大幅な減少局面を経験してきた。最初は1995(平成7)年の阪神・淡路大震災、2度目は2009(平成21)年に京都で新型インフルエンザが発生したことと、リーマン・ショック(2008年)を受けての世界的景気低迷だ。そして3度目は、2011(平成23)年の東日本大震災である。

京都市は、2008年には初めて観光客5021万人を達成し、宿泊客も過去最高の1306万人を記録した。しかし翌2009年、観光客は4690万人へと330万人減、宿泊客は1231万人と80万人減となった。2010年には再び宿泊者を1300万人台に戻したものの、2011年の東日本大震災でインバウンドが大幅に下振れして、宿泊客は1087万人と200万人以上減少した。

いずれも1割程度のダウンで済んだが、今回は間違いなくそれを大きく上回る。

東日本大震災の時は海外需要が下がったが、国内観光客はそれほど落ち込まなかったし、鳥インフルエンザの時も比較的早期に収束した。しかし、今回は局地的な問題でなく、世界的な観光客の減少によるもので、リカバリーできるパイがない。その影響は、戦後過去最大級の落ち込みになる可能性が高い(そもそも昭和の時代は今ほど観光産業が大きくはなかったが)。

京都の「観光依存」が被害を拡大する

とくに日本のインバウンドは、中国人観光客への依存が高まっており、戻るまで相当な時間を要するとみるべきだ。飲食関係などは自粛ムード全面解禁となれば戻りは早いだろうが、旅行の場合(とくに海外旅行は)、予定を決めてから行動するまでのタイムラグが長くあり、その分だけ回復に時間がかかる。

ホテルはもちろん、リネン業者、飲食店、土産物製造業者に至るまで、裾野の広い観光産業が受けるコロナショックの影響は大きい。資金繰り支援措置や緊急融資による対策が矢継ぎ早に打ち出されているものの、それにも限界がある。

改めて、観光産業に対する過度の依存に警鐘を鳴らしつつ、投資と同じで、都市の産業構造はいくつかの分野に分散して誘致誘導すべきことを付け加えておきたい。

「観光崩壊」京都市民の意外な肯定の声

その一方で、観光産業へのコロナショックをマイナスと捉えない京都市民もいる。



「やっと、静かないつもの京都が戻ってきた」

「こんなに空いてる錦市場は久しぶり」


観光客の急増による「観光公害(オーバーツーリズム)」の悪影響や交通混雑に辟易としていた市民の言だ。

皮肉なことに、観光公害で苦しんでいた京都は一変して、閑古鳥が鳴くといってもいいガラガラの状態を迎えている。経済的にはたいへんな打撃だが、一般市民にとってはようやく過ごしやすい日常が戻ってきたともいえるのだ。

京都の観光シーズンといえば、身動きが取れない、どこに行っても大行列というのが近年のイメージで、非常に印象が悪くなっていた。だが、今ならどこへ行くにもスイスイ。有名な寺社仏閣もスムーズに入場でき、ゆっくり楽しめる状態が続いている。

50年に1度ともいわれる清水寺の大規模改修・修繕も終わり、待望の檜皮葺屋根が吹き替えられた本堂もお披露目された。しかも、今なら京都市内のどこへ行っても歓迎され、宿泊料金は破格だ。

通常、春の観光シーズンの3月、4月は大混雑で大幅に値上がりするが、簡易宿所1500円、ビジネスホテル5000円、大手シティホテルでも1万円以下で宿泊できる。なにより静寂な空気の中、余人に邪魔されることなく京都の寺院に身を置くといった貴重な経験ができる。

「コロナショック」が落ち着いたら、真っ先に訪れてみてほしい。京都の喧騒が戻る前に。
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2020年03月27日

刑務所に戻りたいとJRの駅に放火…山口県下関市

刑務所に戻りたいとJRの駅に放火…山口県下関市

 2006年1月7日未明、下関市のJR下関駅が炎上した。人的被害はなかったが、駅はほぼ全焼し、被害額は5億円以上。付近の列車の運行は2日間、運休や間引き運転を強いられた。

火災後、近くにいた男(当時74歳)が放火を認め、現住建造物等放火の疑いで逮捕された。男には知的障害があり、放火や放火未遂で10回も服役していた。事件8日前の05年12月30日に福岡刑務所を満期出所したが、行き場がなく、所持金がなくなり、北九州市のJR小倉駅などで寝泊まりしていた。年明けの1月6日、同市内の区役所を訪れ、「刑務所を出たけれど、住む所がない」と、刑務所職員から教わった生活保護の相談をしたものの、「住所がないとダメ」と相手にされず、下関までの切符を渡されただけだった。その夜、下関駅構内にいたところ、警察官から退去を求められ、未明になって火をつけた。

 当初は警察官に「空腹でむしゃくしゃし、うっぷんを晴らすためにやった」と供述。接見した弁護士には、寒さと飢えから逃れるため、「もう一度刑務所に戻りたかった」と話した。山口地裁の裁判で検察側は「所持金を使い果たし、寒いのに警察官から駅を追い出されたことに腹を立て、再び刑務所に入るために火をつけた」と主張。08年3月の判決は、検察側の主張を採用しつつ、求刑の懲役18年を大幅に下回る懲役10年を言い渡した。裁判官は「出所後、格別の支援を受けることもなく、社会に適応できなかったことは酌むべき事情」と述べた。

  【コメント】 放火はもってのほかですが、空腹と寒さに苦しむ路上生活より、実際、刑務所のほうがましだったのでしょう。ホームレス状態の人が福祉事務所へ出向いて保護を求めたとき、「住所のない人は保護の対象外」と門前払いされることは、ひんぱんにありました。まったく違法で差別的な対応です。住む所がないほど困っているのです。住所のない人は現在地の自治体で保護することになっています。ただし、かつては旧厚生省の通知に「釈放後に帰住地がないか明らかでない場合は、刑務所または少年院の所在地を現在地とみなす」という例外規定があったのですが、11年4月に削除されました。

 近隣の自治体までの切符か交通費を渡すやり方は、今でもよくありますが、もし本人に保護を受けたいという意思があるのに切符を渡して済ませるなら、違法です。たとえ当時、例外規定の関係で北九州市に保護の責任がなかったと解釈しても、区役所の生活保護窓口が適切な対応と助言をしていたら、下関の駅舎は焼けなかったでしょう。

 このごろの刑務所には、知的障害のある受刑者、高齢の受刑者が大勢います。09年度以降、出所前から福祉的支援や住居確保の支援を行う地域生活定着支援センターの事業が始まり、一部の刑務所では社会福祉士や精神保健福祉士も採用しています。ただし刑務所によって取り組みの差が大きいうえ、保護観察所や保護司がかかわる仮釈放に比べ、満期出所後の支援は不十分です。

 刑務所や少年院を出て帰住先のない人に宿泊場所と食事を提供し、就労指導などを行う民間の更生保護施設は全国に103か所、2354人分あるものの、収容能力は足りず、11年度からはNPO法人などが運営する小規模の自立準備ホームも利用されています。更生保護施設の入所期間は通常2か月程度で、経済的自立が難しい場合は生活保護などにつなぎます。

 刑務所を出た人でも生活保護法上の扱いは変わらず、要件を満たせば保護を受けられます。生存権の観点からも、再犯防止の観点からも、支援は必要なことです。
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2020年03月22日

初の刑事事件で露呈した「ふるさと納税」の闇と地方の苦境

コロナ関連ニュースが溢れる中、ふるさと納税をめぐる不正事件が摘発された。舞台は高知県の奈半利町(なはりちょう)。ふるさと納税を担当する地方創生課の課長(45)と課長補佐(41)、そして返礼品を扱う業者(30)の3人が逮捕された事件である。その背景を追うと、ふるさと納税をめぐる闇と地方自治体の苦境が浮かんでくる──。ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。

【写真】高級海産物の数々

 * * *
 事件の舞台となった高知県奈半利町は、高知県東部の室戸市に隣接する人口3000人余り、太平洋と四国山地に挟まれた面積28平方キロメートルの小さな町である。

 主産業は漁業、造船業などで特産品は金目鯛と無花果(いちじく)。紀貫之の「土佐日記」には「十日、けふはこの那波の泊にとまりぬ」との記述がある。町の北を通る野根山街道は中岡慎太郎らの脱藩の道として知られる。歴史の街でもある。

 とはいえ、つい数年前までは、全国的にはほとんど無名だった。それが「ふるさと納税」で一気に注目を集めた。2017(平成29)年度のふるさと納税額が39億円に達し、全国9位となったからだ。地元紙は「ふるさと納税、高知県奈半利町が39億円で全国9位」(2018年7月)と報じ、小さな町の快挙は全国的な注目を集めたものだ。

 それから1年半ちょっと。今度は逆の意味で話題となった。町の財政を支えてきたふるさと納税を巡る不正が摘発されたのだ。

 逮捕された役場職員2人と返礼品業者の直接の逮捕容疑は「電磁的公正証書原本不実記録・同供用」。ふるさと納税を担当する地方創生課長が、息子名義の口座を介して返礼品業者から百数十万円を受け取っていたなどの容疑が判明。その際、息子が奈半利町から安芸市に転居したとする虚偽の異動届を提出していた。税務調査で発覚しないよう住民登録を移したのではないかとみられている。

 これが事件の入り口の容疑だが、本丸はずばり贈収賄だ。課長は息子名義で、課長補佐は親族らが返礼品業者から加工や梱包作業などを請け負い、多額の報酬を受け取っていたと報じられている。捜査当局はふるさと納税を悪用した贈収賄事件を視野に入れて調べている。

◆なぜ人口3000人の町が寄付金額全国9位に浮上したのか

 事件の解明は今後の検察の取り調べや裁判に委ねよう。それにしてもなぜ、こうした不正が見過ごされてきたのか。奈半利町のふるさと納税の実態はどうなっているのか。

 まずは、同町の寄附金額の推移を見ていこう。ふるさと納税がスタートした平成20(2008)年度はなんと、わずか35万5000円である。平成23年度に306万7000円になるが、翌年度は1万5000円に激減。東日本大震災の影響だろう。

 そんな低空飛行から脱したのが平成26年度で、2億2810万円へと急増した。そこからは右肩上がりで、27年度/13億4993万円、28年度/20億4011万円、そして29年度は39億563万円で全国9位まで上り詰めた。30年度は37億4560万円で全国15位だ。

 まさに高知の小さな町が起こした奇跡であるが、なぜ奇跡は起きたのか。ここに事件で逮捕された課長補佐がキーマンとして登場する。

 課長補佐はふるさと納税スタート時点から一貫して関わり、寄附金額全国9位にまで押し上げた立役者。寄附の受け付け先に大手通販サイトを加えるなど返礼品ビジネスのアイデアを次々に打ち出し、“業績”を飛躍的にアップさせてきた。そんな町の救世主が目をかけていたのが、逮捕された返礼品業者だ。2015年から2019年度の5年間に町から支払われた返礼品の調達代が約22億円のトップ業者である。

 課長補佐と業者は、業者の父親が経営する別の水産加工会社と取引のあった東京・築地の仕入れルートに目を付け、築地を何度も訪問。そのルートで上質なカニやホタテを返礼品用に確保し、奈半利町人気を押し上げたという。返礼品業者は築地を訪れるたびに課長補佐を銀座のキャバレーなどで接待していたと報じられている。

 ネットには利用者の声が今も残っている。

「高知県奈半利町からどどーんとホタテ貝柱2キロ届きました」
「ふるさと納税 高知県奈半利町のホタテが届きました!」

 といったブログ記事を見ることができる。そのホタテは北海道産だ。町の特産品でも何でもない。過熱した返礼品競争の象徴といっていいだろう。町のふるさと納税の中心人物がキーマンとなって業者と癒着して、町の特産品以外の水産物で実績を上げた。ふるさと納税の闇の一端が明るみに出た格好だ。

◆総務省のペナルティで状況は改善するのか

 奈半利町の大躍進が続く一方で、この数年、全国的に過熱する返礼品競争が問題視されていた。

 総務省は2019年6月から認可制とすることを決め、5月に6月1日以降のふるさと納税対象の指定団体を公表。「返礼割合3割超」「地場産品以外」の返礼品を提供して前年11月から3月までに50億円以上を集めていた大阪府の泉佐野市(寄付金額全国トップ)ら4団体を不指定にした。

 同様に2億円以上を集めていた43団体については指定対象期間を他の指定団体よりも期間が1年間短い4か月に限定する“ペナルティ”を課した。この43自治体の中に奈半利町も含まれていたのである。

 このとき町の担当者は、「町が考える加工と国の方針が違っていた」などと釈明していた。その後、町は返礼品の見直しなどを行って総務省に期間延長の再申請を行い、10月からの指定期間1年延長が認められ、現在に至っている。

 奈半利町は今回の事件を受けて町のホームページに「町職員不祥事のお詫び」を掲載。職員逮捕を受けて行われた3月3日の町の会見では、竹崎和伸町長が「町に寄付していただいた方の信頼を損ね、おわびと反省の念でいっぱいだ」と述べて頭を下げた。課長補佐に権限が集中していた点についての質問には、「寄附額を押し上げた功績があり、なかなか担当を代えられなかった」と答えたという。

 奈半利町では総務省の“ペナルティ”を踏まえ、昨年10月から「ふるさと納税返礼品協力事業者」の公募を始めた。「適正な返礼品の選定と業者の選定を行うため、選定委員会を設けて選び直した」(同町総務課担当者)。今回逮捕された返礼品業者はその選定委員会の“選考”をクリアしていた。町は癒着を見抜けなかったのか。

 奈半利町の一般会計予算は69億円(2019年度)。ふるさと納税の寄附金額はその3分の1に相当する。財政力指数0.20と全国市町村平均の0.51を大きく下回る財政難の町にとって、ふるさと納税はかけがえのない収入だ。今後、総務省がどんな措置を取るか分からないが、不指定団体にされるようなことがあれば町の財政への影響は計り知れない。今回の事件は全国的に見れば氷山の一角との見方が出ている。

 ふるさと納税が自治体と業者の癒着や利権構造をもたらしている可能性があるのであれば、全国的に返礼品や業者の選定過程をチェックする必要がある。

 事件の背景には、人口流出、人口減が続く地方自治体の財政難と硬直化した組織体制、人材難が浮かび上がってくる。

 そうした中、ふるさと納税を活用してコロナショックで打撃を受けた地方の給食食材納入業者など地方の業者、地方経済を支援しようという動きが出ている。災害時にも見られた動きだが、これこそ地方活性化に向けたふるさと支援という本来の趣旨に沿っているように思える。

 導入から10年以上経ったふるさと納税。地方活性化は遅々として進んでいない。今後も存続させていくのであれば、原点に立ち返って、本来の趣旨が活かされるような運用が不可欠だし、寄付する側の意識改革も必要ではないだろうか。
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2020年03月20日

「卒業式だけは」と縮小開催 震災で入学式中止から9年、大槌の小中一貫2校

 岩手県大槌町の小中一貫2校で14日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため規模を縮小した卒業式があった。9(中学3)年生81人は、東日本大震災の津波で校舎が浸水するなどし、2011年4月の小学校入学式が中止になった学年。「卒業式だけは」という周囲の支えに感謝しながら学びやを巣立った。

 吉里吉里学園中学部では出席者を保護者、教職員に限定し、例年の半分程度の45分間に式を短縮した。金野節校長は14人に卒業証書を手渡した後、「9年間大変な思いをしたが、家族や地域の人々の温かさと防災の大切さを学んだ。復興を進める人材になって古里に帰ってきてください」と式辞を述べた。

 最後のホームルームでは担任の浅沼幸直教諭(35)が「困ったり悩んだりした時は、苦しみや喜びを分かち合う仲間がそばにいることを忘れないで」とはなむけの言葉を贈った。卒業生や保護者からはおえつが漏れた。

 この後、「サプライズ演出」が待っていた。教室のカーテンを開けると式の出席がかなわなかった7、8年生21人が校庭から9年生へのエールを叫んだ。

 内陸の私立高へ進学予定の木下瑠碧(りお)さん(15)は「在校生も来賓も出席できなかったけれど、大好きな野球を極めたいという勇気をもらえた」と話した。工藤のどかさん(15)は「エールに涙が止まらなかった。いつまでも吉里吉里を忘れず、帰って来ます」と笑顔を見せた。【中尾卓英】
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